コメッセージ 149号 2008年 10月号
近づいて中に入ってみると稲の穂首に灰色っぽくカビのようなものが付着していて、穂全体がくすんだ感じになっています。
まさかイモチ病?・・・・稲にとって最悪の伝染病で、放っておくと全滅にもなりうる極めておそろしい病気....ということで農業改良普及センターのT氏にサンプルを調べてもらったところ、やはり間違いなくイモチ菌が見つかったとのこと・・・・さてどうする・・・・。
で、相談の結果、時は8月も下旬にかかり出穂後かなり経過していること、これから気温も下がり秋らしいカラっとした天気になればそれほど増えることもないだろうということで、とりあえず様子をみることにしたのです。
これまで田園交響楽の名をもって殺虫、殺菌剤を使用しないお米づくりを貫いてきたこともあり、ここはじっとガマン・・・・秋らしいスカッとした好天を期待することとしました。
ところが、ところがですよいつまでも蒸し蒸しした暑く湿気の多い日々が続くじゃないですか。
温暖化?・・・・9月に入っても妙に曇天でじっとりと暑苦しく、結局病気は止まらず徐々に進行しているようです。
昔ですとすぐに、カスガマイシンなどのイモチ病に対する特効薬(抗生物質)殺菌剤を散布して進行を抑えることができたと思うのですが、今回の判断は時期的に微妙だったこと、そして除草剤以外の農薬は使わない(特別栽培低農薬)という安心安全を求める顧客の皆様の期待にどうしても応えなければならないということからの前述の判断だったのです。
農薬を使用しないで栽培するという"リスク"が現実になったこのイモチ発生は、過繁茂にせず、地力をつけた田で米を作っていればイモチ病なんて出ることはないだろうと"たか"をくくって漫然としていた私にきつ~い一発パンチとなりました。
ところでまたまたやってくれましたね、お役所の怠慢を。
事故米だか汚染米だかわけのわからん、素性の知れない米を輸入しておいてその処理を民間に丸投げ・・・・結局自分たちはひとつも手を汚さず、責任もとらずですから実にいい身分ではあります。
あっ、そういえば農水大臣と事務次官だけは辞職しましたけど、こういうのは「とかげのしっぽ切り」じゃなくて頭切り?ですかね・・・・それで組織は変わるの?何年か前に食糧検査制度が変わってそれに携わっていた食糧庁の何千人もの検査官の行き場所? を作るために"食品安全室"を設けた・・・・と私は聞いていたのですが、その方々はこういうことが起きないように日夜お仕事をされていたのではなかったのですか?
私たちの汗の結晶である貴重な税金で国内作付制限までして需給調整しているお米を外国から買って、しかもそれが食べるに適さないものであるから1kgをたった9円で国内業者に卸す・・・・さらにさてさて、それから先の流通は知りませんときた。
今年、米は大豊作(私を除いて)で価格の上昇は望むべくもありません。
コメでは農家の経営が成り立たなくなって久しいのですが、来年にかけて諸資材の値上がりが待ったなし(例えば肥料はいっぺんに6~7割もあがるらしい)の状況でますます苦しくなり離農に拍車がかかりそうです。
国とJAは米価を維持せんがため各農家に水田耕作面積に応じて6,000円/60kgの米を出荷させ、一般の流通からは隔離する対策を発動するらしいですが通常の価格ですらやっていかれないというのにさらなる負担を農家に強いるとは・・・・。
減収(収量と収入)と品質の低下というリスクを抱えながらも安心、安全なものを自己責任において作っている一(いち)日本国納税者として、そして真に自立した農家たらんと欲する者にとって実に腹立たしい限りではあります。
★おしらせ★
今月より諸般の事情によりお米の販売価格、宅配便代金が幾分値上げとなります。どうぞご了承ください。
投稿者:taka-farm