コメッセージ 163号 2009年 12月号
冬道になって毎日札幌の専門学校に通う末娘が息咳切って私の車に乗り込んできます。
駅までは3km弱、車で10分ほどですが冬になると私か家内のどちらかが送っていくことになります。
春から秋にかけては自転車で行くことも多いので毎日というわけではありませんが、それでも週に1~2回は送ることもあったでしょうか。
「もうちょっと早く支度しれや」とぶつぶつ言いつつも駅までの短い時間、娘との何気ない会話ができる貴重な時間でもあります。
学校のことや、就職のこと、友達のこと....よくよく考えてみるといつも同じような会話なのだが娘の人となりを知る上では、第三者がいない分なかなかいいものである。
それにしても私が札幌の高校に通い始めた頃はまだ一部蒸気機関車が走っていて、しかも単線、もちろん電化などされているはずもなく、便数は現在の1/4もなかったと思う。駅には毎日雨が降っても自転車で通っていて、親に送ってもらったという記憶はない。
もっともそのころ我が家には車もなかった....いや、そういえば映画「オールウエイズ」に出てたような排ガスをもこもこ吐いて走る軽自動車があったなぁ....。
で、さすがに冬は歩くのもたいへんなので当時の国鉄バスで途中で乗り換えて通っていた。
もう40年ほども前のことでちょっと雪が積もるとノロノロのラッシュアワーでよく遅刻をして先生に注意されたことを思い出します。
そして2年生になってからは2輪の免許をとって5月から10月頃までバイクで通いました。
今では高校のバイク通学なんて認められるはずもありませんが、当時はまだそんな時代だったのですね。
この頃ホンダ、スズキ、ヤマハ、カワサキの4大メーカーが競って多種多様なタイプのバイクを売り出し、カタログ集めやバイク雑誌に夢中になっていたのです。
今のような国際的な環境問題などあるはずもなく日本が世界の二輪車市場を席巻し、四輪車もそれに続くべくまさに物作りに国を挙げて邁進し始めたころです。
ところで昨年のリーマンショック以来相変わらず低空飛行を続ける日本や欧米を尻目に、いち早く立ち直った中国は年率8%以上の経済成長を持続しそうと言われていますが、車にしても世界一の販売台数になるとか....。
すでに日本の富裕層の所得に匹敵する人口が1億人はいるということで、これから世界は良くも悪くも中国で回ると考えてもいいようです(残りの10数億人はどうなるのかな?)。
かつての日本が歩んだ道を中国が世界の工場として続こうとしている。
ただ違うのは工業化社会から脱工業化、そして情報化、さらに高度な情報化社会へと世界が変質していることで人、物、金、そしてそれこそ膨大な(大方はどうでもいいようなものかもしれないが)情報が飛び交う世界になっているということ。
お金....古い私はこれを"おかね" と呼びお札や、コインを連想しあくまでも現金で頭の中を動くのですが、今は"マネー"とか言ってめったやたらとカードやらクレジットが氾濫して"仮想現金"での生活があたりまえの時代となっています。
もちろん中国とて例外ではなく共産主義の中のマネーゲーム、そしてバブルもありとか....。
まもなく2010年、末娘にとっては将来を決める大事な一年になります。
私も家内も「ああしなさい」「こうしなさい」とは決して言わないし、まわりの"仮想"に惑うことなく自分に正直にあって行く道を見つけて欲しいと思う。
まずは自分自身を愛すること、大切にすること、そして信じること。
そして地に足の着いた人間になれば自ずと他者を愛し、他者から愛され、そして信頼される人になると思うのだが。
投稿者:taka-farm