コメッセージ 172号 2010年 09月号
黙っていてもじわっと汗がしたたり落ちます。
今年の8月はいったいどうなってしまったのか?
これまで通説?だった北海道はお盆も過ぎれば秋風が吹くようになり、朝晩めっきりと冷え込むようになって半袖なんかでは外に出られない....なんてことはいったいどこの話かと言いたくなるような日々がず~っと続いています。
最高気温が30℃前後でしかも湿度が高く、いわゆる本州府県の梅雨明けの気候といってもいいでしょう。
そういえば7月は過去最低の日照時間で温度も高めで"梅雨"といってもいいぐらいでしたから、まさに8月は梅雨明けでとうとうここ北海道も気候の面でいえば内地化(ないちか)したといってもいいのではないでしょうか。
おかげでこれまで北海道の冷涼な気候の特性を生かした作物の作付けにも少なからずの影響が出てくるのは避けられず、大いに気になるところではあります。
どちらかというと涼しさを好む作物の代表格といえば小麦、じゃがいも、ビート、たまねぎなどの畑作物、だいこん、キャベツ、レタス、ブロッコリ、ながねぎなどの野菜類とどれもこれも北海道の基幹を成す農作物となっています。
これらが高温の障害を受けてしまうとあたりまえの成育ができなくなってしまうのです。
それと以前は集中豪雨という言い方をしていた大雨が今では"ゲリラ豪雨"ですからね。
今夏は道南と道北方面で多大な被害が出たようですが、局地的に短時間でドッと降るわけですからまことにつかみにくい。
北海道では以前にはせいぜい降っても数十ミリ単位だったと思いますが、100とか150ミリ単位での気象情報になると何か想像もつきません。
私の家の横を流れる千歳川では30年ほど昔は確か2,3日の積算で70ミリ以上降ると洪水の危険性が高まると聞いていたので、昔の尺度で現在のこのゲリラ豪雨に対応できるものかどうか心配なことではあります。
結局作物は一時的な冠水状態でも大きなダメージを受けますので高気温と過湿状態での被害はこれからの北海道農家の作物選択に大きく影響するでしょう。
今、世界では農地の争奪戦(ランドラッシュ)がものすごい勢いで進行中だといいます。
お隣の韓国、中国などは自国民を養っていくだけの食物の生産が、大きくは温暖化による気候変動とあとは個別の理由で将来的には非常に不安視されているため、ウクライナとかアフリカ諸国に農地を求めているというのです。
方や日本では古くからの開墾されてきた山間の農地を経済的に合わないという理由で荒廃地化、限界集落なる過疎の状態にしておいて、四苦八苦の自治体合併で地方の生き残りを図ろうとしています。
しかし旧村名、町名は残っても人は残ってないし、ましてや食糧自給率を1%あげるほどのパワーなんて出るはずもないでしょう。
日本は外国から大量に農水畜産物を輸入しているので、実質的には世界の農地、海域を囲い込みしているとも言えますが、相対的な国力の低下で囲いの網があちらこちらで破れつつあります。
ロシアの麦輸出禁止、マグロの漁獲制限、発展途上国の人口増と食糧輸入増....。
この暑さでどうやら北海道の米は全国一の豊作になるとのこと、まったくもってめでたい....とも言ってられません。
実は昨年からの在庫が300万トンに達して米価の暴落が必至だからです。
消費の減ってる米が40年近くの減反下でも有り余って農家が食えない価格に下落→農家の米からの撤退→山間の水田や畑、山林の放棄→荒廃地→ゲリラ豪雨の被害→住民の離村→地域の崩壊....という連鎖。
暑くて雨が多いということは米作りに最適だということを国民一人一人がもう少しわかって、もう少しずつ余計に食べてくれたらなぁ....と、つくづく思います。。
投稿者:taka-farm