コメッセージ 179号 2011年 04月号
やばいぞ!こりゃ脳梗塞の再発か?...........精米作業中に数10秒ほどなんとも言われない気持ち悪さと恐怖感に襲われました。
しかし変だぞ!計量器のデジタル目盛りが減ったり増えたりして落ち着かない。
で、ほどなくして、これは地震だと気づいたのは1分ほど経過してからだった。
それほど揺れはひどくなく、ゆっくりとした横揺れで例えて言うならばあたかもゆりかごに揺られているような感覚であった。
こうして私は3月11日、日本の災害史上最悪になるやも知れない未曾有の大地震を経験することになったのです。
よもや東北、関東でとんでもないことになっていることなど想像もせずに、そのまま軽トラックで外出したのですが、ラジオではなんかえらく騒いでいる様子。
気になりながらも淡々と用事を済ませ自宅に帰ると「たいへんだよ、父さん!!」と家内。
で、テレビを観るとこれはこれは、この世のものとは思えない光景が映し出されています。
まるでCGでも観ているような錯覚に襲われて、現実のこととしてしばらくは捉えられないほどの映像でした。
頭のなかであまりに現実離れした光景に呆然としていると、いきなり家内の現実に引き戻す言葉.....「うちのN子と連絡つかないよ」.....えっ!なんでだ、うそだろ!
少し冷静になって話しを聞くと、地震発生直後、東京にいる娘から一度は連絡があって無事でいるということだった....しかしそれからはナシのつぶてで安否がわからない。
「おい、どうなってんだ!」と家内に思わず声を荒げてしまったが、後で帰宅難民程度で済んだとの連絡が入りホッとしたものです。
これを書いている今(3月31日)新聞、テレビでは連日"原発"のことについて報道していますが、全く先の見えない内容であらためてその恐ろしさを知りました。
実体として見えない放射能から数万人もの人々が生まれ故郷を離れ避難しています。
とりわけ胸が痛むのは私の仕事柄、この上もない農家の無念な思いです。 冷害、猛暑、集中豪雨、台風、地震、津波、火山爆発などの天災ならいざ知らず原発が原因というのは全くの人災で、収穫をあきらめ先祖代々手塩にかけて守り続けてきたであろう農地を離れる姿は本当に泣けてくる。
戻って田畑を耕し種をまくことができるのはいつのことになるのか、政府、東電は補償するとは言うが農家の怒りと心ここにあらずの虚しさは察するに余りある。
一般民が避難命令が出されてから町ぐるみで移動しているなかで、この人々には具体的にこれからのことでどんな説明が、誰によってなされているのでしょうか。
報道では内外ボランティア、自衛隊、警察、消防、東電の下請け、そして地方自治体の首長達、いわゆる一般人の方々が最前線に立って頑張っているように思います。
しかしこんな極限状態にあるときこそ政、財、官ほかの真の日本のトップリーダーたちが希望ある指針をガツン!!と出して欲しい。
この地震の前、天に伸び続ける東京のスカイツリーが毎日のように話題になり、やれ東京タワーを抜いたの、世界一の高さになったのと日本の繁栄と技術力の高さを象徴するできごとだったのですが、私には今回の事故は現代版バベルの塔として思い起こされます。
すなわち神々の住む天に少しでも近づきたいと願った人間がバベルの塔を築いていったが、神の怒りに触れ人間の言葉を様々な言語に変えてしまったため、混乱してバベルの塔は結局瓦解してしまったという神話です。
人は神(天=大自然)の前では本当にちっぽけな存在であるということを改めて自覚し、ライフスタイルそのものを相当見直さないといけないとつくづく思います。
これはいみじくも田園交響楽という名の意図する主旨『おいしいお米は大自然の「天」と「地」の恵み、そして小さなコンダクター「人」のシンフォニーからつくられます』にそのまま相通じるものでしょう。
投稿者:taka-farm