コメッセージ 219号 2014年 08月号
私たち稲作農家にとっては嬉しい誤算となり、昨年以上に早い出穂ペースで、この分でいくと9月の初め(10日以前)には稲刈りが始まるかもしれません。
8月は一般農家では米の仕上がりを良くするための管理.....殺虫殺菌剤の散布、田への入水量の調節などを行っています。
ただ、その殺虫剤の問題が新聞に載っていましたが、皆さん気付かれましたか?
近年北海道でミツバチが夏場に大量に死んでいるという記事で、どうもその原因が稲の害虫、カメムシの殺虫剤にあるらしいというのです。
以前この紙面でカメ虫の食害による斑点米の発生について書きましたが、人間のエゴで益虫までも皆殺しにするやり方はおかしい旨の内容でした。
しかし時が進んでも結局は防除の方法がハイクリブーム(直接田に入る防除機)やラジコンヘリコプターになり、時間と労力の節減になってコストの削減につながることは優先されても、生態系のことは散布の範囲が狭まり飛散が少なくなるから前よりましだ....ぐらいの感覚でしかないのが実際のところではないかと思います。
ところでまたまた出ました、中国産加工食品の期限切れ、腐った肉の再利用問題。
驚きを持ってこのニュースを見た方、はたまたもう慣れっこになってまたかという方、いろいろでしょうけれど、先ほど起きた日本の農薬混入冷凍食品問題は一個人の犯罪でしたが、これは企業ぐるみで組織的に行われていたということで道徳観、倫理観を含め悪質、ここに極まれりといった感があります。
あぁ、でもそうは言っても身近な北海道でもミートホープという会社の事件があり、ついこのまえには一連の食品偽装事件が発覚して大騒ぎしたばかり....日中双方50歩100歩か....。
このことに比べたら人が病気になったり死んだりしているわけでなし、たかだか虫がちょっと多く死んでいることぐらい、どうってことないと思われるかも知れません。
そして日本ではトレーサビリティ制度があり農薬使用の適否、散布濃度、時期、回数など守られている....はずだからなおさら大丈夫と考えるかもしれません。
でもそういう日本でも自然界(生態系)の複雑な仕組み、関連は土壌微生物から小さな虫、大きくは今年の気象まで、なにひとつ確実なことはわかっていないのです。
7月末日、これを書いている今、私の眼前には豊作の予感をさせるように風になびき頭を斜めに傾き加減にしはじめた稲穂の波が広がっています。
台風や大雨による洪水、突然の竜巻や雹といった天災に襲われることがないかぎりまずまずの収穫が得られるのは確実です。
豊かな農地を蹂躙され、旅客機まで撃墜され落ちてきた紛争ただ中のウクライナ農民、究極の人災で収穫はおろか畑仕事すらままならない胸中を思うと、収穫は確実....と言える農民であることがいかに幸せなことかつくづく思います。
投稿者:taka-farm