コメッセージ 110号
田の水の入り具合を見るためにあぜ道を歩いているといきなりカモが飛び出し、やや離れたところでバシャバシャやっていかにも怪我かなにかをしているかのように振る舞っ てこちらの気を引こうとしています。
ああなるほど、そうか・・・・・・すぐに子育て中の親ガモが我が子の安全を図ろうと我が身を呈しての"演技"なんだということがわかります。
それにしてもこれが本能からきていることだとは思うのですが、自然というのは生き抜く術を見事にそれぞれの生物にそれぞれの形で与えていますよね。
その場を足早に離れてちょっと様子をみていると、草の陰からちっちゃなヒナが6羽ほど出てきて母親と無事再会・・・・・あぁ良かった。
でもいったいどれだけのヒナが最後まで成長できるかなとちょっと心配にもなったり、 このごろ頻繁に起こる人間界での我が子に対する虐待事件とのあまりにも大きな落差に思いを馳せたり・・・・そんなことを考えて歩いているとそれこそ、あっ!と危ない・・・・・ .用水に足をとられて農道でこけてしまいました。
で、引き続きカモの話題で恐縮ですが先月発行の109号の話のつづきにふれましょう 。
アイガモのヒナ180羽が明日来るというのに何の準備もできていない・・・・・さてどうし ょう・・・・・電話があった直後はあたふたとしていたのですが、ここで今まで9年やってきたアイガモ農法のノウハウを生かさないでどうするってなことで、いささか冷静になって考えてみました。
明日は幸いなことに天気が良さそう・・・・・ということはまず飼育場を覆うビニールハウスにビニールを張っておけば夕方までは寒さは大丈夫ってなことで、暖房はそれまでに なんとか調達するとして大急ぎで飼育箱を組み立てたあと暗い中でビニールをかけました。
その間にもあちこち心当たりに電話して暖房の方法、資材の調達の検討をします。
その結果、米ぬか、籾殻と豚糞堆肥を交換している養豚農家から子豚用の暖房に使うヒーター が1台空いているから使ってみてはということで借りられることになりました。
しかしそれだけでは足りないので暖房用の電球かハロゲンヒーターか、とにかく手に入るものを調達することにしてこの日は終わり。
ヒナ到着当日、早朝より外敵防御のためハウスの周りに電気牧柵、金網を設置・・・・・ここで 千歳空港にヒナを引き取りにいく時間となり一時中断。
午前11:30、ヒナが我が家に到着してハウス内の飼育箱に移したあと、市内の大手ホー ムセンターに行って6月に暖房用具?を探す・・・・・結果、店頭には置いてなかった在庫品のハロゲンヒーターを出してもらって、とりあえずこれで間に合わすことにする・・・・ .というより、なんとか間に合いそうなのでとりあえずホっとする。
引き続き電牧、金網の設置作業、暖房装置の据え付け、さらにビニールハウスを覆うカラスよけの防鳥用のネット張り・・・・・ここで夕方になり暖房装置の電気を入れて夜を越せそうなことを確認。
暗い中でのネット張りを終えて丸一日ちょっとで格好つけた形になりましたが、細かいことは翌日に点検ということで、くたくたになってどうやらこうやらなんとか終わらせ ました。
今回のこの件に関しては田植え終了直後であったため、それまでずっと続いてきた種まきから育苗管理、堆肥、肥料散布、代掻き、田植えなどの一連の休みなしの作業から の解放、まさにうちみたいな稲作主体農家にとってとても大きな心の区切りが得られるはずだったのですが、そうはならなかったということで余計に気持ちの余裕を失ってし まったような気がします。
アイガモ君達には悪かったのですが、本当に彼らの存在を疎ましく思ってしまいました 。
さてさて肉体的にも精神的にも"ギリギリ"を続けることの危うさを感じた1日ではありましたが・・・・まずは"休みのために働く"ぐらいの心持ちがちょうどいいのカモ。
投稿者:taka-farm