コメッセージ232号 2015年9月号
コガネ色の稲穂が風になびき、あかとんぼが空を群舞する.....そんな日本の秋を代表していた主役のひとつがいつのまにか消え去ろうとしている。
その原因として疑われているのが農薬(殺虫剤)で、田植えの時に育苗箱にまくことで田んぼ全体に広がり、農薬成分が苗の根から吸収され、それを食べる害虫が死ぬというものです。
で、結局害虫、益虫、その他もろもろ無差別に作用するわけで、ちょうど田の水の中で孵化したとんぼの幼虫、ヤゴにまともに効いてしまうというわけです。
私も全部の田で殺虫殺菌剤をやらない今の栽培体系にする前、もう20年?ぐらい前に一度使ったことがありましたが、苗に害虫が全くつかないのでえらくいい薬だなと思った記憶があります。
今はほとんどの米農家が手間がかからず、効果が長く持続するため生産コストの点でも経営上のメリットが大きいいうことでこうした農薬を使っているのが現状です。
数年前になりますか、一時大量のミツバチがいなくなってしまい養蜂家はもとより、蔬菜園芸農家たちも作物の受粉ができないなどたいへんなことがありました。
EUの方でも大問題になり、ある種の農薬がミツバチの神経系にダメージを与えたのが原因とのことで、現在その農薬は使用禁止になっています。
しかしあろうことか、日本では同種の農薬の食品残留基準値がつい最近厚労省によって緩和されたというから、....えぇ!まさかうそでしょ!
日本の役人は国民よりも農薬製造メーカーの方を向いて仕事をしているのかと疑ってしまいます。
今、世界的に健康面からの和食に対する評価が定着しています。
それに加うるに、世界的にみても厳しい残留農薬基準や、トレーサビリティー(農薬の使用履歴)、食品表示、反遺伝子組み換え......等でさらにその価値はゆるぎないものになる....はずです。
でも一方で前述のごとき農薬の使いすぎによる生態系の破壊につながることをやっているわけで、これでTPPに参加でもしようものならさらなる規制緩和の中で日本食品の優位性が吹き飛んでしまいかねません。
かく言う私にしても米はスペシャル以外除草剤を使用してますが、小面積の直売所向け野菜は3品目を除き殺虫殺菌剤、除草剤ともなんとか使わないで頑張っています。
秋の天高い青空をバックに群舞する"あかとんぼ"の姿を孫達に見せたいのです。
投稿者:taka-farm