コメッセージ317号 2022年10月号
稲刈りはこれを書いている9月末現在、ほぼ8割方終わりましたが昨年は9月22日に終わっていますので10日ぐらい遅れての終了になります。
それでも例年(私が経営主だった頃)と比較しても早い方で、まずは当ファームのダントツ主力であるお米が終わることでその安堵感は格別のものがありホッとしております。
そしてその安堵感をより強めているのが稲の倒伏(台風などの風雨で倒れること)の多さです。
道路を通行中あちらこちらの田んぼを見ても今年はやたらと倒伏が多く、ひどいところは畦ぎわだけ残してベッタリと一面倒れている様子が見られるところもあります。
そうなると収穫もたいへんで、当然お米の品質も悪くなりますので農家にとっては泣きっ面にハチでもありますが、うちも少なめでしたが同じように例年よりかなり多く発生しておりました。
そんな訳で心配の種は収穫が完全に終わり、納屋(なや=今で言う穀物乾燥調整貯蔵施設)に収まるまで無くなることはないのです。
でもそんな田んぼの中でもうちでは一枚だけ全く倒伏のない田んぼがありました。
昨年から酒屋さんと取り組んでいる全くの無農薬で酒粕と堆肥だけの有機肥料だけを使っているもので、実にいい稲のでき姿をしており、さぞかしこのお米(品種はゆめぴりか)でお酒を造ったらいいものができるのではと思わせるに十分です。
人と違い稲は酒粕を大量に施してるからといって深酒で酔いつぶれるなんてことはないのだ(笑)ということがこれで分かりましたが、皆の努力が報われどうやら酒造りの原料になるようです。
いいお酒ができた暁には別の機会に皆様に周知したいと思っております。
ところでお酒と言えば赤毛で造っている日本酒「久蔵翁」と米焼酎「1873」ですが、これまでどちらもまずまずの評価いただきこれまたホッとしているところです。
日本酒はできないが焼酎ならできる赤毛がある.....なんて、そもそも赤毛にそんなにたくさん種類があるなんて想像だにしておりませんでしたが、農業試験場には一応7種の赤毛の種子があるとのこと!!....これも誰もやったことのないことに取り組んで、壁に当たったことからわかったことで異業種の人や組織との連携の大切さとこうしたチャレンジが偶然の奇跡をも呼び起こすということに繋がっていくのだと実感しているところです。
ですから前述の酒粕田んぼのお米がどれだけの食通と飲んべえを唸らせるものに仕上がるのか、お酒屋さんやうちの社長達当事者以上に私も個人的にメチャクチャ楽しみでもあります。
しかしこうした楽しみも無事生産、収穫を終えてから言えることで、今年も異常な気象で日本や世界各地で干ばつ、洪水など作物の生育すらおぼつかない気象災害が頻発しましたね。
これまでに経験したことのないような...とか観測史上一位を大幅に塗り替えるような...とか
身の危険を避けるような避難行動をとか....そういった表現が普通になってしまいました。
幸いにも当地では台風12、14号における被害は冒頭に述べた倒伏の拡大ぐらいで済みましたが、
多大な被害のあった農家さん達は喜びの持てない秋を迎えて気の落ち込む日々でしょう。
日本酒、ビール、焼酎、ワイン、ウィスキー...地域興しの地酒がいっぱいの昨今ですがそれに依(酔)って立ってこそのお酒であって、間違っても酔って倒れることのないように....。
投稿者:taka-farm