コメッセージ No.59(2001年4月号)
春は確実にそこまで来ています....と同時に私や家族にとっても最も忙しい季節がやってきました。
昨年は新規に取得した長沼の土地での作付けがあったため余計に忙しい思いをしたのですが、今年はさらに1.3haほど作付けを増やし、水稲は全部で19.8haとなりますのでまたまた忙しくなりそうです。
米作農家のあらかたはここ数年来の米価下落で米づくりへの意欲を失っており、転作をすればかなりのまとまった奨励金があたることからそれへの希望が多く、私が少々の復田をしても水田大幅減反の大勢にはこれっぽっちも影響しません。
今まで農家はこぞって転作と言われれば転作し、復田せよと言えば言われるようにしてきたわけですが、その中で私はその流れには極力乗らないように、一貫して作られる限りの水田を耕作してきました。他の農家が休んだ分、自分が作られるだけの田んぼを作ってきたのです。
ですから外に稼ぎに行く(冬期のアルバイトは除いて)こともなく他に所得を頼ることはしませんでしたが、今になってみると自分みたいにあまり器用でない者が歩いてきた道としてはこれで良かったのじゃないかなぁなんて思うところです。
私達のような農家は前述のように狭い地域社会や農協などの生産販売組織、画一的な農政の中で一様にみんなで良くなるために集団で思考し、決定し、団体で行動してきました。 確かにそれである一定レベルまで良くはなりました.....。
大きな流れに乗ってさえいればまずまず安心、他の人と同じような暮らしぶりで生活の価値観も共有し打たれるほどには出しゃばらず、目立たず、波風を立てずにやってきたのです。 日本の国情が安定しここまで経済発展してきたもともとの要因はこうした農民的な発想の社会規範にあったとはよく言われてきたことですし、評価すべき点も多いと思います。
そして相変わらず大方の農家はこうしたなかで何とか頑張っているというのが実状でしょう。
でも一方では最近はそうした行き方からはみだした農業者がたくさん出てきていることも事実です。私の所属している中小企業家同友会の農業経営部会には「自立した経営(生産、加工、販売などを自ら手がけている)」をしている者がいっぱいいますし、アイガモ水稲会にはこころ、「心の自由人とでもいうべき百姓」がいっぱいいます。
こういう農家の人たちと日々接していると、自分のやっている直売とかアイガモ農法とかのことが、ことさら特異なことではないようにも見えてきます。
これからはIT(アイティー、情報通信技術)の時代で情報の伝わるスピードが格段に早くなり、そしてそれらが等しく一般市民に共有されるのはあたりまえになってくるといわれます。
すなわち私の「農」へのこだわりや生産しているものの特殊性というものが多くの不特定多数の人に広く、しかも早く伝えられる.....のと同時に他の農家のものもやはりどんどんと情報として出てきて一般の方々に伝わるということです。
ですからよっぽど見聞きする人にとって価値あるものでないと、自分のもとに引きつけて囲い込むことなんかできません。
これからの高度に情報が飛び交う社会でたくさんの「はみだした農業者」達に互して自分の存在をアピールし認められるには、しっかりした「己、おのれ」というものを持ちつつ、更なる差別化や高付加価値化を進めなければならないでしょう。 もう大流からはずれて我が道を行けば良い....だけではいつのまにかその道が大きな流れの一部になってしまう可能性が大きいのですから。
「はみだした」なかでのそのまた傍流....でいきましょうか....?!
なにかこんな風にものごと考えてくるとおもしろいですよね.......次はどんなことしたらいいかなぁ.......何ができるかなぁなんて。
ベストセラー「チーズはどこへ消えた?」のホーの行き方で行こう!
ところで4月1日よりJAS法が変わって農産物の表示を変更しなければなりません。
10Kgの米袋の裏の表示もそれにならって変えておりますのでご覧ください(5kgはそのままです)。
複数原料米とありますが私のところは未検査米ですのでこの表示しかできません。
籾貯蔵で正確な数量が把握できないのとJAなどが管理運営するライスセンターではないために食糧事務所では検査してもらえないのです。
本来品種名も記載できませんがとりあえず従前のようにシールで対応しておりますのでご了解ください。
また有機栽培農産物も認証機関の発行する認証マークがないものは有機栽培と名乗って販売できないことになっていますので注意していただければと思います。
それと低農薬のほしのゆめですが引き合いが多くてこのペースでいくと9月の新米時期まで持つかあやしい状況となりました。
きららは若干の余裕がございますのでそちらでも良いという方はそうしていただけると助かります。またほしのゆめの規格外米(粒の小さいもの)も用意しておりますので詳細はお尋ねください。
それと当ファームで実習などやってみたい人はいないでしょうか....心当たりのある方は紹介していただけませんか。くわしくはこちらにお問合せください。
投稿者:taka-farm