コメッセージ No.87
何が何だかわからずにとりあえずカモの死骸を拾い集めたのだが、アイガモ農法 を始めて8年目にして初めての出来事だけに、埋葬したあとただ茫然と立ちつくすのみ.....。
ややおいて冷静に判断するに、どうも殺され方からみてイタチか野生化したミンクの仕業に違いない。
まずカモの体に傷らしい傷がない....キツネだと肉や内臓を食べるだろうし、 水の中に置きっぱなしというこはありえない....ということは捉えたあと獲 物の生き血を吸うイタチの食性にピッタリなのである。
電気牧柵のわずかの隙間をかいくぐって侵入できる大きさを考えると、これまた イタチということになるし、多少の水の中でも泳ぎが上手ですばしっこいイタチ であればアイガモを捉えることは可能だろう。
それにしても一夜のうちに15羽もやられるとは....ややあってから少し気を 取り直して防御策を考えたのだが、とりあえず電気牧柵の点検と田の横の農道に 車を止めそこに泊まり込んで見張ることにする。
夜になりうとうとしながら1~2時間おきに起きて田の中で異常事態が起きてい ないかチェックしたが、田の中は静かなものでカモ君達がざわめいている様子もない。
これなら大丈夫と4時頃薄明るくなったのを見計らって家に引き返し、ふとんに 入ってぐっすりと眠ってしまった.....。 で、起きて、さてカモ君達に朝の挨拶をばしようかと思い田に行ってみると.. ...えっ!えっ!!!....やられてる!!!!!.....なっなっなんと... ..絶句 。
今度は9羽であった。
ここまできて、あぁ何たることか....「イタチは味をしめたら最後の一羽ま でやってしまうぞ」とは父の言葉であるが、すっかり意気消沈して気が滅入っている私の心にさらに辛く厳しく響いてくる。
それで、じゃ、最後の策はと思案し、カモに餌を与えるように作ってあるベース キャンプをぐるっと囲って夜間だけそこに避難させることにする。
そうすれば少なくとも私は夜、自宅で眠ることだけはできるだろう。
ただ困るのは夜間のカモの行動が制限されるため、それだけ除草や虫捕りの効果 が少なくなることなのだが、でも毎日のように捕られ一羽もいなくなってしまうよりはまだずっとましというものでしょう。
とにかく今年はヒナのうちにいつも以上に死んでしまい、田に放したときには118 羽に減って、さらに田では前述のようにイタチにやられ現在(8月1日)残っているのは90羽ぐらいといったところです。
これまでカモ君たちの生存率ではずっと9割近い数字で来ただけに、今回のトラブルは自分にとって実に厳しい反省材料を突きつけているように思います。
一番怖いのはやはり『慣れ』からくる手抜き.....「去年までこれで良かっ たからきっと今年も大丈夫」....「この程度でたぶんなんとかなるだろう」 といった安易さがトラブルの発端となっているのです。
カモや田、そして気候など条件、環境はその年によって変わります。
やはり大事なことは....いつも『初心』を忘れず....ということではないでしょうか。
ところで7月は昨年同様、なんともひどい天気でしたね。
特に稲作りで一番危険な時期である幼穂形成期始まりの頃のある日、早朝の気温を調べると12℃しかありませんでした。
それでは雄しべの花粉が皆死んでしまい、生殖能力が極端に低下してしまいます。
稲は自家受粉ですので、花粉の死=不稔粒の多発=収量の大幅低下というふうにつながっていくわけです。
それで今年も今月下旬にならなければいったいどれほどの作況となるのか、とんとわからない状況となっていますが、それは次号で触れることにしましょう。
投稿者:taka-farm