コメッセージ 160号 2009年 09月号
別に暑苦しくて眠られないわけじゃありません・・・・もし稲が全滅したらどうしよう!?
7月の30年に一度あるなしの不順な天候にあい稲の全滅の危機が突然やってきたのです。
これまで長い田んぼでは地元の消費者協会と契約した田で20年、短い田んぼでも新たに購入した長沼町の田で8年間、そして当ファームのブランド「田園交響楽」の名前を創出するきっかけとなったあいがも農法を始めた田で13年間、一切の殺虫、殺菌剤を使用しないでお米を作って来た中でとうとう先月8月2日午後、稲にとって最悪にして最強の大敵、稲熱(いもち)病の発生を確認したまさにその夜・・・安心安全を信頼して今まで私どものお米を購入いただいてきた顧客の皆様にどう説明したものか....?
全滅=販売物が穫れない=収入がない・・・妻や子供達、父母の顔が目に浮かびます。
もし稲熱病が他の農家の稲に伝染したらとんでもない迷惑をかけてしまう・・・ 何としても病気の蔓延を防がなければ。
待ったなしで明日からすぐに殺菌剤を打たなければ・・・でも希望した薬は間に合うだけの在庫がないという・・・じゃ、どの薬をどの時期にどれだけ散布すればいいのか?
そしてなにより散布するにも機械がない!!・・今までずっとトラクターから長いホースを数人で引いて畦の上から風に載せるやり方で予防的に木酢液や漢方薬の類を施用してきただけに、広い田んぼ全面に均一に散布するにはどうしたらいいのか・・・7月初め一部の田で除草剤散布の際、借りた機械メーカーの試乗機(田に直接入って16mほどの長い竿で薬剤を均一に散布できる)を再び借りられないだろうか・・・農機具販売店に問い合わせたがまだ返事は来ない・・・・時は一刻を争っているのだが。
もし機械が借りられなければ前出の畦から散布する機械でやるしかない・・・でも少しでも均一にやろうとするならば畦だけでなく畦と畦の間の田の中も30mm径の耐圧ホースを人力で引かなければならない・・・でもホースを引いてくれる人が確保できないぞ!
まてよ・・・天気はどうなんだ?・・・防除をやりたくても7月みたいに2日にいっぺん雨が降るようなことでは防除自体ができないではないか!
とにかくいろんなことが頭をよぎり、ぐるぐる回ってどうどう巡りを繰り返すのです。
このメッセージを書いている横でラジオのニュースは衆議院選の開票速報を放送しています。
民主党候補の当選が続き300議席以上確保しての圧勝を予想し、政権交代が現実のものとなったと繰り返しています。
それにしてもほんの数分であらかたの選挙結果が示され、しかもほとんど全く狂いがありません。
そして選挙にさきがけて行われる世論調査において予想された結果ともほとんど違わないのには本当に驚きを禁じ得ません。
もっとも、言わせてもらえばあまりにも早く、しかも正確すぎておもしろみに欠ける部分もあるにはありますが。
政治の世界は"一寸先は闇"とは良く言われることで、今回その闇を味わっている"センセイ"方はどれほどおられることでしょう。
"票田"の有権者の微妙な意識の変化を読み損なうと、本選挙結果のようにとんでもないしっぺ返しが待っているのです。
9月になるとさすがに朝晩冷え込むようになりますが、稲熱病が治まるにはこの冷え込みと澄んだ青空がいい薬になります。
8月はほぼ一ヶ月、稲熱病の防除で忙殺され先に光の見えない"闇"の世界にいたようなものですが"水田"の稲の微妙な変調を見落とした当然の結果と言えるでしょう。
原点にもどり、稲との対話をもっと深めなければならないと反省する次第です。
投稿者:taka-farm