コメッセージ 166号 2010年 03月号
え~~っ、うっそ~.....と皆さん(特にアイガモ農法米をお買い求めの方)は思われるでしょうが、以下にその二つの理由を述べますのでご理解をいただきたく思います。
昨年夏の異常な気候の中で稲熱(イモチ)病が大発生し多大な被害が出たことは、すでに皆様にはご案内してきたとおりですが、その伏線として一昨年のイモチ病の発生を軽く見過ぎたことがより事を悪くしたと考えております。
すなわち殺虫殺菌剤を使わず有機栽培向けの資材だけでお米を作るということに13年間こだわり続けたことで、一昨年8月下旬の初発時に殺菌剤などの薬剤散布を躊躇したこと....結果論かもしれませんが、昨夏の異常な天候はイモチ菌の繁殖の最適の条件になってしまったことで、越年した菌がどんどん増えてしまったのでしょう....が仇となって返ってきてしまったのです。
7月半ばから8月にかけ連日30℃を超えるような暑い夏になれば菌も死んで、その活動が抑制されることからなんとかなるだろうという、神懸かり的な期待感で臨んだこと自体がいかに無謀なことだったか、まるっきり正反対の気象条件に翻弄され、出るべくして出たイモチ病だったのです。
それで今年はまず対策として発生を未然に防ぐ予防に重点を置くことにしました。
まず育苗の段階から予防薬を撒布しようと思っていますが、これは人間に行っている子供の"はしか"や"ポリオ"の予防接種、ワクチンのようなものかもしれません。
そして、そのあとは7~8月にかけて様子を見ながら殺菌剤を撒布するといったやり方で、最低限の撒布回数と量で最大の効果が出るような仕組みにするつもりです。
そこで問題になるのがそうした薬を一枚が7000から9000平方メートルもあるような大きな田にどうやって均一にムラ無く撒くかということですが、近年は技術が進歩して1000倍ほどの希釈液を積みぬかるむ田の中を16m以上の幅で一気に撒布できる機械もできております。
そういう機械が田の中を走るということは障害物があってはできませんから、アイガモ農法で使用する電気柵や防鳥ネット、テングスなどがことごとく邪魔にになってしまいます。
電気柵やカモ君達の休み場を撤去し再設置するには最短でも3日はかかるでしょうし、第一、カモ君達を一時仮住まいさせる場所も用意し防除の度、移動しなければなりません。
そして他にもうひとつ理由は千歳川の堤防拡幅強化工事のためにヒナ達の飼育場と田から引き上げてからの肥育場のほとんどが無くなってしまうことです。
川の氾濫の危険から守るための工事ですからぜひとも進めてもらいたいのですが、カモ君達の居場所が国に収用されてしまうことから、別の場所をなんとかしつらえなければなりません。
このことについては無理に今年度中にやらなくても良いのかもしれないのですが、どうせなら前述の理由と合わせアイガモ農法の中断の時に済ませてしまえば、そのほうがかえって好都合でしょう。
そんなこんなの理由で今年はアイガモ農法を休止するということにした次第ですが、殺菌剤は使用するものの従来通り殺虫剤、除草剤は使わずに栽培するつもりです。
雑草対策は今年は機械除草と手取りだけでなんとか凌げればとも思うところですが、カモ君たちの虫取りと草取り能力のすごさを改めて認識しそうではあります。
どんな会社でも個人事業者でも"看板"があります。 時代が変われば変わったなりの看板、どれほど周囲が変わろうが普遍性を持って変わらない看板。
看板商品、もしくは看板そのものを"創り出す"ため、経営者や社員達は日々頑張っているのだと思います。
まずは今まで積み上げてきたタカシマファームの看板をリセットして再出発ということです.......看板倒れにならないように。
投稿者:taka-farm