コメッセージ306号 2021年11月号
「あの~赤毛米、買えるんですか?」と先日来、問い合わせの電話が入るようになりました。
これは先月10月23日発行の道新北広島版に『醸造休止の日本酒原料「赤毛」新米食べて 北広島産 予約販売を開始』と少々大きく掲載され、問い合わせ先として北広島商工会と当ファームが記載されていたからなのです。
記事の内容としては令和3年に生産された赤毛米が日本酒造りに適さないため焼酎の原料にまわすとともに食用にもまわして一般の方にも販売するということ、今回普段通常では絶対に手に入れることのできない現在の北海道米すべてのルーツともいえるお米を食べることのできるまたとないチャンスですよということが書かれており、直接の生産者である私も話の種としてもおもしろいかと思われますので是非ともこの機会にお求めくださればとご案内する次第です。
赤毛の栽培歴史や当ファームでの取り組みについては過去このコメッセージでも幾度か紹介しましたし、ネットでも「赤毛米」で検索していただけたら詳しく載っていますので割愛いたしますが何故令和元年産から突然日本酒造りに向かないようになったかを簡単に説明いたします。
実はこれについてもネットの「赤毛米酒 久蔵翁 の販売中断について」という内容で商工会のページがありますので検索できる方はそちらの方からどうぞご覧下さい。
平成30年産の赤毛までは確かに「久蔵翁」ができていたのに元年産からできなくなった訳.......明治初期、北海道の開拓が始まった頃には函館以北の地でできるお米はありませんでした。
しかし開拓民にとってお米を食べられるようになることが最大の夢であったようにも思います。
各地の篤農家では突然変異した赤毛の中から優良なものを抜粋して種を穫ってきたわけですが、それを繰り返すうちに同じ赤毛でも多少形質の違ったものが何種かできたと思われます。
現在のようなDNA検査ができるはずもなく農業試験場に赤毛として保存されているものも何種かあるということのようなのです........ということでお分かりいただけたでしょうか。
私が平成25(2013)年から作り始めた赤毛は先代の栽培者S氏から分けていただいた種で、その系統と試験場から入手して令和元(2019)年に使用した種は同じ赤毛でも違っていたのです。
試験場の方もまさか酒造りが可能な系統、全くできない系統(そもそも酒造用として使うなんてハナから思ってもいなかったようですが)があったとは驚きだったようです。
このようにして開拓期にはお米を食べんがために中山久蔵を始めとして篤農家がどれほどの品種改良、作付け拡大に心血を注いできたことか、そのことが今日の日本有数の米どころとして北海道米”ゆめぴりか”や”ななつぼし”に結実しているのです。
ところで衆院選さなか応援演説に来られた自民党超大物A氏、また口が滑っちゃいましたね。
北海道のお米が美味しくなったのは地球温暖化のおかげ.....とかなんとか、でも150年になんなんとする道産米の前述の品種改良の歴史と栽培技術の向上にはどれほどのエネルギーが費やされたことか.....そして今コロナ禍での米過剰による米価下落で米農家は泣いています。
半導体造りから撤退、外国任せにしたら品不足で車は3~4割も減産、そして輸入食料も供給減から軒並み値上がりする中、米価安で米作り撤退農家が続出? これでいいのか日本!
投稿者:taka-farm